自分の児文

元々は児童文学の感想置き場でした

2021秋アニメ

大変遅くなってしまいました。

主に卒業研究やら新生活の準備やら旅行やらで時間が取れなかったのと、いくつか感想を書くのに苦労した作品があったのとでここまで遅くなってしまいました。まさか秋アニメの感想書く前に冬アニメが終わるとはね……。まぁでも卒論と違ってアニメの感想を書くのは好きなことだから、苦しくも楽しいですね。

いい加減グダグダ捏ねくり回しても億劫になるだけなんで、全然感想かけてないアニメも多いけどとりあえずあげておきます。

 

 

S

・やくも二番窯

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二番窯では、偉大な母親や祖父を持ってしまったが故に苦悩する姫乃や十子先輩が中心に描かれました。特に、何の為に、どうして作るのかということに主眼を置いて描いていたように思います。

 

作品を作り発表することって必ずしも称賛されることだけではなくて、それによって傷ついたり悩んだりすることも表裏一体で。

それでも彼女たちが作るのをやめないのは、きっと伝えたい思いがあって、喜ばせたい人がいるからなんですよね。

第19話では刻四郎が「器は焼きあがっただけじゃ完成してない。誰かに喜んでもらってやっと完成なんだ」という姫菜の言葉を教えてくれました。

1期で姫乃が作った座布団だって、賞を獲れるかもという期待とは裏腹に残念な結果に終わってしまったけれど、それを作った姫乃の思いは父親に「座りたい」と思ってもらえたことで報われました。

今まで青木十兵衛の孫として周りの顔色を窺いながら作品を作っていた十子先輩だって、初めて剥き出しの自分で挑んだ作品がおじい様に認められて、どんなに嬉しかったことでしょう。

 

思いを込めて作られたものには、言葉などなくとも伝わるものがあるんですよね。姫菜がモニュメントに込めた思いが時を超えて姫乃に届いたように。国境や言語の壁さえ越えてヒメナにも届いたように。十子先輩の織学祭での新作を見た松瀬理央やおじい様が、言葉なくとも彼女の思いを感じ取ったように。

彼女たちには伝えたい思いがあって、その思いが伝わるその嬉しさも知っていて、だから創ることができるのだなぁと感じさせられました。

 

 

 

 

・王様ランキング

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王様ランキングは元々原作を好きで読んでいました。大抵好きな作品のアニメ化って不安の方が大きいんですけど、この作品はWIT STUDIOがアニメ化するなら間違いないだろうと。そして箱を開けてみると、やっぱり間違いなかったなと。

原作の線の少ない絵を崩さないようにしながら、でも手抜き感などは全くなくむしろグリグリ動く素晴らしい作画で、もう流石のWIT STUDIO。ボッジがデスパーさんの家で料理をするシーンとか、ボッジvsボッスのところとか、よくあそこまで広げられたなと思います。

それに構成も順序を組み替えていたりして、色々わかりやすくなっています。

 

やっぱりこの作品の最大の魅力はキャラクターだと思います。悪者に見えたやつが実は良い奴だなんて、使い古された古典的な手法なだけに安易に使うと陳腐になりがちだと思うのですが、そんなことを全く感じさせません。

意地悪な王妃かと思われたヒリングが実は不器用ながらもボッジのことを強く想っていたりだとか、四天王の中で一番悪そうなベビンが本当は如何に忠誠心が高く慈愛に満ちた人間であるのかとか、デスパーさんへの評価が一瞬のうちにクルクル入れ替わったりだとか。

この作品は登場人物それぞれにちゃんと過去を用意してくれていて、それを一人一人丁寧に描いてくれます。みんな必死に生きてその時に最善だと思うことを頑張っていて、単純に善悪で判断できる人たちばかりではありません。自分を善だと信じて疑わないときは、他方からは悪だと思われてるもので、それこそがこの作品を名作たらしめていると思うのです。

 

 

・境界戦機

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この作品はどちらかといえば地味で堅実で、序盤こそ引きの強い物語ではあったものの、それ以降はハラハラドキドキしたり次の展開が気になったりするようなつくりではありませんでした。ですが、地に足がついた草の根的なレジスタンスの活動は個人的にはかなり好印象でした。

他国に占領された日本で、って聞くと他にもいろいろ思い浮かぶ作品はありますが、この作品で嬉しかったのはそこに生きる人々の生活をしっかり描いてくれたことです。レジスタンスとして守りたいもの、その対象としての一般人の生活を描くことはこの作品らしさを作り出すことに一役買っていたと思います。

 

アジア軍も北米軍もオセアニア軍も組織の意思と末端の各個人の意思とが乖離している様子が描かれた中で、八咫烏の面々は気持ちが良い程一枚岩で。人を助けるという点においては戦闘に限らず生活の援助だってするし、人命救助には敵も味方もないという徹底ぶり。もう誰も傷つくところを見たくないというアモウのまっすぐな気持ちと、八咫烏の組織としての活動理念がバッチリと同じ方向を向いていて、彼らの活動を見ているのは本当に気持ちが良かったです。

そんな綺麗ごとばかり言ってられる状況じゃないだろなんて言われてしまえばそれはそうだし、隠岐の島戦において救助したアジア軍の軍人たちにも「甘すぎる」なんて言われていたけれど、それでも彼らの活動によって救われたものたちが居るのも事実です。もしマクロな視点で大局的なレジスタンス活動をする過程で、その足元で困っている人間一人一人を見捨てるようなそんな活動をしていたとしたら、きっと私は好きにならなかったと思います。

結局アジア軍の軍人たちも命を救われた礼として軍規違反を犯してまで助け舟を出してくれて、隠岐の島戦では辛くもアモウ以外の犠牲者を出さず作戦をやり切ることができました。これはアジア軍人を切り捨てていては拓けなかった道です。だから例えそれが綺麗ごとだとしたって、彼らの活動を信じて見守っていきたいと私は思うのです。

 

 

 

・大正オトメ御伽話

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2021年に出会った作品の中での大賞を挙げるならこの作品。

私、夕月みたいな性善説を信じさせてくれるようなキャラクターが本当に大好きなんですよね。私がフィクションで一番見たいものって、究極に端的に言ってしまえば「優しい人」なんだと思います。そしてそんな人たちの優しさが伝播するような物語が大好きなのです。私も「誰にでも優しくある」ということを標榜して生きているのですが、単純だけどこれほど難しいこともないなと思います。

この作品が何故好きかと問われれば、「優しさ」で物語が回っていくからです。珠彦を筆頭とした夕月の周りの人々は彼女の優しさに救われたけれど、彼女もまた珠彦の優しさに救われているのですよね。そこが好きなのです。

 

第一話での夕月の台詞にこんなものがありました。

素っ気ないフリをしているけれど

とても誠実でお優しい方

きっとこの方なら私を大切にしてくださる

だから私も大切にしよう

優しくしようと

そう

思いましたの

 

……私は

側にいて色々な珠彦様を見たい

好きになりたい

そう

思っております

 

優しくされたから優しくしてあげたいという人間の営みがそこにはあります。

金で買われた夕月と人生のどん底にあった珠彦。お互いに人のことを気遣う余裕なんてなかったはずの二人なのに、珠彦は夕月に上着を掛けました。そのことが如何に夕月の心を救ったでしょう。そんな何気ないことで、でも人の優しさは伝わるものなのですね。

無償の愛による「好き」という言葉は素晴らしく思えるけれど、時に無根拠で無責任です。だからこそ、交わりの中で生まれた「好きになりたい」という感情の重みに、そして本当に「好き」になる過程にこそ愛しさを感じてしまうのです。

 

もちろん悪意の存在を無視することはできません。完全無欠な素晴らしい人間などはいませんし、この作品にだって悪意を持った人間はたくさん出てきます。珠子も綾も、志摩家の人間も最初は全員悪意を持って登場します。

でもこの作品では優しくない側の人間にも理由があります。珠子や綾にはトラウマがあり、アニメのその後ではそれこそ志摩珠央や当主の珠義でさえ羅刹と呼ばれるに至るまでの悲しい過去が描かれます。(珠代は悪意ではなく倒錯した愛情によって行動しており、例外的な存在ですが)

 

自分に悪意を向けた人だって他の誰かにとっては大事な人で、ボタンの掛け違いで憎しみをぶつけられる関係になってしまっただけかもしれない。そう思える夕月という人の、なんと素晴らしいことでしょう。彼女のような人間になりたいというのが私の望みであり、それを確認する作業こそが私がフィクションを見る理由の一つなのですよね。

 

 

余談なんですけど、私は「大正オトメ御伽話」を見るとどうしても中島美嘉さんの「僕が死のうと思ったのは」という曲の歌詞が頭から離れないんですよね。amazarashiが提供してセルフカバーもしている曲で、最近だと美嘉さんがTHE FIRST TAKEで歌ってらしたので知ってる方も多いかと思います。

この曲は生きるのに不器用な人間がふとした時抱く希死念慮を歌った歌なのですが、そこにどうしても厭世家である珠彦のことを重ねて見てしまうのです。

僕が死のうと思ったのは  まだあなたに出会ってなかったから

あなたのような人が生まれた 世界を少し好きになったよ

貴方のような人が生きてる 世界に少し期待するよ

これは「僕が死のうと思ったのは」の最後の歌詞なんですけど、なんだか夕月と出会って生きる希望を見出した珠彦にとってもリンクして見えませんか?

 

 

・ワッチャプリマジ

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甘瓜みるき、好き……。

周囲の人間の影響で屈折したり、過去の出来事が原因でキツい性格になってしまったキャラクターは過去プリティーシリーズにも多くいましたが、甘瓜みるきはそういうタイプではありません。ただ純粋に計算高く、自分の武器として、防具としてカワイイを演出し、周りを蹴落とす。今までのプリティーシリーズにはいなかったキャラクターでワクワクしますね、ほんと。

ただ、プリティーシリーズの尖ったキャラって物語が進むにつれ段々と牙を抜かれてしまう傾向にあるんですよね。今まさにみるきはその最中で、1年目までは多分大丈夫だと思うんですけど、2年目以降メインキャラクターの立ち位置から降りてスポット参戦キャラ化したときに、形式的に毒を吐くだけの甘いキャラクターにならないかがとても心配です。

 

・86

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22, 23話で全部持っていかれましたね。時間がかかってでもクオリティを妥協せず、ちゃんと描いてくれたアニメスタッフにはホント感謝しかないです。

特に23話の構成なんか、どれだけ推敲に推敲を重ねたのだろうか、と思わせられるほどに複雑で且つ素晴らしかったです。

シンが抱えている欠落と絶望について明るみになる2クール目の後半あたりから、俄然物語に引き付けられました。皆がシンエイに頼り縋り、そして皆が彼を置いて先に逝く。それほどシンエイは皆の心の支えだったのでしょう。でもそれじゃあ、残されたシンエイはどうしたって救われない。

フレデリカでさえ、彼を救うことはできませんでした。彼女はシンに願いを掛けてしまいました。キリヤ・ノーゼンを殺すという救いを、彼に求めてしまいました。

絶望とともに生きてきたシンエイの、その上に立ってくれたのはミリーゼ少佐だけでした。隊長として誰にも縋ることもできず、弱みさえ見せることができなかったシンエイにとって、自分より上に立ち手を差し伸べてくれたミリーゼ少佐は救いだったのでしょう。自分に救いを求めない、それが彼をどれだけ救ったことでしょう。

だからやっぱり、シンを救うことができるのはミリーゼだけだったんですよね。彼女が忘れないでいてくれたことが、願いを受け取ってくれたことだけがシンを救うことができたのだと思うと、この結末が必然であり、如何に美しかったかがわかるというものです。

 

 

 

・白い砂のアクアトープ

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この作品は、見方の違いでだいぶ評価が分かれる作品だなぁと思います。この作品の感想はかなり言語化に苦戦していて、こんなに記事公開が遅れたのもこれが書けなかったからなのですよね。

確かに物語的にはそこまで大きな山場は無いし、しかも主人公であるくくるは最後まで迷い続けたまま物語が終わります。加えて色々ぶん投げてしまったように見える要素もあって、一見中途半端なアニメだったようにも思えます。

でも私は、最終回のくくるとおじいの会話を聞いて、今までの全部がストンと腑に落ちたんですよね。

後になってみないと、わからないことっていっぺぇあるさぁね

ちゃっさしんどくても一生懸命やってると、ご褒美みたいな時間が来ることがあるさ

ごくごく稀にね

(中略)

選んだ道を、自分の力で正解にしてあげなさい

つまり、全ては途中である、ということなんですよね。

あのときの選択が正しかったのかなんて、それがわかるのはずっとずっと後になってからで、それは結果論でしか語れないんですよ。最終回でアニメは終わるけれど、彼女たちの人生はまだ道半ばなわけで。だから、アニメとして最終回でキレイに幕引きすることだって出来たかもしれないけれど、そうしなかったということは決して纏められなかった訳ではないと思うのです。

これからの人生だって選択の連続で、迷いの連続であるはずです。今までの選択を間違いにしないために、そしてこれからの人生をも正しい道にするために、最後の瞬間まで迷い続ける彼女たちの姿を描くことは、真摯にキャラクターの人生に向き合った結果なのだと思うのです。

そして、例えば櫂のくくるへの感情だって、アニメが終わるからって区切りをつける必要はないのです。彼らの人生には、それこそ死ぬまで「最終回」なんて区切りはないのですから、まだこれから先にいくらでもチャンスはあるかもしれないじゃないですか。

確かに大きな山場は無かったかもしれない。でも、彼女たち一人一人を見ると、全員確実に変化しているんですよね。メインキャラクターだけじゃありません。あの面倒くさがり屋で女性嫌いだった屋嘉間志空也でさえいつの間にか女性と話せるようになり、やりたいことなどなかった朱里ちゃんは夢を持ってティンガーラに正式に入社し、うどんちゃんはティンガーラのシェフになっていました。それが良いか悪いかなんてのは後になってみないとわからないものですが、彼女たちの選択は、確実にお互いに影響を与え合いながら前へと進んでいっています。そんなキャラクターたちの様子が見れたのがただただ嬉しいのです。

そして、その中でもやっぱり、くくるの成長を見守れたことは格別に嬉しかったですね。

私は最初、というか結構後半までなんですけど、くくるって結構怖いキャラクターだなぁという風に感じていましたし、正直苦手でした。彼女には彼女なりの正義や価値観があって、そこに合致する人間には味方になってくれる心強い存在だけれども、そこに相反する人間に対しては相手方の事情を汲み取る前に敵対視しちゃうのが本当に怖いなぁと。

思えば、がまがま立て篭もり事件も、南風原さんとの確執も、ウェディングプランナーとの折衝が上手く行かなかったのも、この物語で発生した大きな問題の原因は殆どくくるの自分(生き物)本位な物の見方にあったと思うんです。この時のくくるはまだ自分以外の視点で物事を見ることを知らなかったんですよね。だから、自分の思う正義を正解だと振りかざし、それが受け入れられないとわかると周りが敵に見えてしまったのでしょう。

でもそんなくくるが、ですよ。自分の立場でしか物事を見れなかったくくるが、23話では風花に、

ごめんね。

私が心配ばっかりかけて、風花をお姉ちゃんにさせちゃった。

と言えるようになったんです。自分の視点でなく風花の視点から見た自分の姿に反省し、それを謝罪する。これまでの沢山の問題を通して、ようやくくくるが自分以外の視点に立って考えることができるようになったんです。

この台詞を聞けた時、私は今まで見てきてよかったなと、心の底から思えました。

やっぱりこの物語は水族館再建記なんかじゃなくて、くくるの成長物語だったんだなって。そして、それはまだ終わってなんかいないんですよね。これからもずっと迷いながら成長していくであろうくくるに想いを馳せられることが、私にとっての幸せなのです。

 

A

・ブルーピリオド

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アフタヌーンは大好きで購読こそしてないものの新連載は大体チェックしてて、この作品はもう1話から圧倒的に面白かったですね。

どんな創作論でも共通して「意識すること」についての重要性について描かれますが、この作品も例に漏れずそうでした。

 

絵を描くようになって

見えてたはずの景色が今までよりはっきり見えるようになった

知ってるはずなのに今まで何も知らなかった気さえした

 

絵ってさ

言葉だと伝わらないものが伝わるんだよ

世の中には面白いモノや考えがたくさんあるって気づけるんだよ

「見る」以上に「知る」ことができて

「描く」以上に「わかる」んだよ

 

色が良い人とそうじゃない人の違いは「色に対して神経を研ぎ澄ましているかどうか」

色はとにかく乗せればいいわけじゃない

自分にとって最高の色は自分にしかわからないでしょ?

 

これは最近写真をはじめて私もようやく共感できるようになったことです。

季節ごとの自然の表情なんて今まで気にして見たこともなかったし、外を歩いていて空を見上げることなんてそうそうなかったのに、今や天気ばかりが気になって、紅葉はどれほど色づいただろうか、あの花の見ごろはそろそろだろうか、どのように切り取れば一番綺麗に見えるだろうかなんて、そんなことばかり考えています。

一人暮らしをして初めて今まで親がやってくれていた名もない家事の一つ一つに気付いたりだとか、料理にハマって初めて当たり前に食べていた親の料理を全然覚えてなくて泣けてきたりだとか、思い返せば意識的に取り組むようになって初めて気づくことって今までも沢山あったんですよね。

創作活動というものにはとんと縁のない人生でしたが、八虎の気付きにこの歳になってようやく気付くとは、わからないものです。だから八虎が一つ一つ課題に意識的に取り組み、その度に気付きを得ていく姿に、昔はできなかったであろう実感を伴った共感をすることができるようになって二重に楽しかったなと思います。

 

個人的に大好きな原作20話(アニメの10話)の部分は原作から大好きだったけれど、アニメの出来も凄く良かったです。

この作品ってどこまで行ってもキャラクターの自分探しのお話なんですよね。芸術って自己表現で、それに本気で向き合うってことは自分を知ることなのですよね、きっと。

その中でこの10話は、自分と他人の断絶の話だったように思います。

例えば旅館の朝食で八虎は最初に刺身を食べるのに対して龍二は最初に味噌汁から飲んでいたり。波の音を聞いて龍二が「落ち着く」と言ったのに対して八虎は「怖い」と言ったり。八虎の夢の中でだって、二人は海に沈んで別々の方向を見つめています。最後のヌードデッサンのところも、裸の二人の間に屏風があって、これ以上に無い程個人間の断裂を描いています。

お互いに全てを曝け出したとて、完全に理解しあい同じになることなんてのは不可能なんですよね。

でも、そのヌードデッサンのシーンで八虎がボソッと、

自分で勝手にキャラ作りしちゃう気持ちはわかるなぁ…

と呟くんですよね。

思えば朝食のところでも、最初に食べるものは違っても、それでも口を揃えて「うまー!」ってなったりするし、八虎が海の音に「何もかもなかったことになりそう」だと言ったことに対して龍二は「……そうだね」と理解を示しています。

完全に分かり合うことなんてのは不可能で、それでも自分を曝け出し分かり合おうとすることは無駄じゃないのだという、救いの見えるこの話が、私は大好きなのです。

 

 

・見える子ちゃん

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四谷みこができることって基本は見て見ぬふりだけで、幽霊に対してとれる行動のバリエーションがないんですよね。だから最初はワンパターンだし一発ネタとエロで釣る感じなのかなと思って見てたんですけど、思った以上に面白くて恐れ入りました。

四谷家の父親の話みたいに叙述トリック的な仕掛けがあったり、遠野善を悪く見せるための壮大なミスリードを数話かけて各所に仕込んでいたり、四谷みこ以外のゴッドマザーや狐の神様などが幽霊に干渉するという方式をとったりなどして、各所にワンパターンを回避しようという創意工夫のある話が見れました。最初の印象とはもう全く乖離して、最後まで飽きを感じさせることなく楽しませてくれたと思います。

最終話も、狐の神様の「三回」とはいったい何だったのかとか、猫を殺して回っていた犯人がどうなったのかとか、全てを明かし切らないことでヒキも残しつつ、でも遠野善の今までのミスリードなんかは全部回収していく丁寧さも同居していて非常に巧いなあと。

是非とも二期も見たいアニメの一つになりましたね。

 

 

・吸血鬼すぐ死ぬ

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Y談おじさんとかへんな動物とか、雑で安易でバカな下ネタギャグ本当に大好きなんですよね。ロナルドくんの下ネタ語彙が小学生レベルなのとかヒナイチちゃんの下ネタ語彙が「ちんちん」しかないのとか、もうまさにまさにで可愛すぎて撃ち抜かれちゃいました。

 

 

・先輩がうざい後輩の話

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私はTwitter発のシチュエーションコメディ的なラブコメってあんまり好きではないので基本見ないんですけど、見たら見たで悔しいけど面白かったですね。

双葉の感情の振れ幅が異常に大きかったり、桜井さんと風間くんの中学生みたいな恋愛だったり、正直社会人としては見れない部分もありました。キャラクターの幼さと舞台がちぐはぐというかなんというか。でも逆に言うと社会人であるという点にさえ目を瞑れば、安定の動画工房クオリティでグリグリ動くしキャラクターも可愛くてめちゃくちゃ良いアニメでした。

幼さって捉えようによってはマイナス要素でもありますが、萌えという集合の中でかなり大きな割合を占める要素でもあると思います。属性的な萌え要素としてのツインテールやロリータファッション、あとはツンデレなんかも、幼さや精神的に未成熟であったればこそのものです。

だからこの作品は萌えという観点で見れば、毎週萌えを安定供給してくれる素晴らしいアニメだったなと思うのです。

 

 

・逆転世界ノ電池少女

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お約束を理解しているキャラクターたちによる、結構ギリギリでメタメタの綱渡りって感じのアニメでした。

このメタとリアルの綱渡り感、機動戦艦ナデシコとかそういう系統だよなぁと思ったりなんだり。

色々書きたいんだけれど言語化できてないので、思いついたらこっそり追記するかもしれないです。(普通にしないかもしれない)

 

 

・ダイ大

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バランもハドラーもめちゃくちゃカッコよくて、ザボエラ以外のキャラクターが全員魅力的で震えますね。

ザボエラが死んで魅力がある人間ばかりが残ったと思ってましたが、案外生きているのもそれはそれで面白いのかもしれませんね。ザボエラだけクズで小賢しくて、一人だけある意味次元が違うというか、そういうキャラクターがいるだけで予想もつかない掻き回し方してくれそうじゃあないですか。

 

 

無職転生

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いやぁ、相も変わらずエグい。

この作品って異常に生っぽいんですよね。ともすればノイズになりかねない、しかしどんな状況でも切り離せない人間の性欲をド正面から描いたり、連行された先で奴隷として売られる子供たちの悲鳴が聞こえたり、そこまでやるかねっていう生々しさを持った描写は枚挙に暇がありません。

この生っぽさがこの作品の最大の特徴であり、私としては結構苦手な部分でもあり、でも抜群に面白い部分でもあるんですよね。

だけど、「面白い」と「苦手」の間でゆらゆら揺れてた天秤が一気に「面白い」に傾いたところがあって。そこは父親であるパウロと再会して一悶着あったあたり。抽象的ですけど、そこで初めてこの作品の持つ生々しさがリアリティを演出するためでなく、物語のストーリーとして必要になってバチッと噛み合った気がしたんですよね。

そこからはもう食い入るように見て、最後まで息をつかせぬといった感じ。本当に面白いアニメでした。

 

余談ですが、フォロワーが前に「アニメを見ているとたまに、居ても立っても居られなくなった瞬間、登場人物がさらに上回るパワーで代弁してくれることがあって」って言っているのを見て、なんだかそれを実感した場面もありましたね。ギースがパウロにルーデウスのことを話してくれたシーンとか、パワーのある言い方ではなかったにしろとっても嬉しかったです。ルーデウスのこれまでの苦労を見てきた我々視聴者と見ていないパウロにギャップがあるのは、それは仕方のないことで。だからこそ、ギースがルーデウスの苦労を話して聞かせてくれたとき、何だか視聴者の自分まで救われたようなそんな気がしたんです。

 

 

舞妓さんちのまかないさん

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基本はタイトルの通り、舞妓さんのまかないを作る女の子のお話で、何でもない花街の日常が料理を交えて描かれます。しかしただの日常たれ流しというわけでもなく、何気ない話の端々から顔を見せる芸事の世界の厳しさや花街の常識なんかが垣間見えるお陰で、退屈せずにずっと見ていられます。

自分には恐らく一生無縁の世界で、自分には及びもつかない世界でも、頑張っている人達が沢山いる。それってなんだかとても素敵なことで、勇気を貰えますね。

 

 

B

・SELECTION PROJECT

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ダブル主人公とレジェンドアイドル周りの設定が丸っきりIDOLY PRIDEと被っていて、その設定の特異性から、パクリではないにしろ変なノイズになってしまっていて勿体なかったなぁと思います。

 

まぁそれはさておいて、この作品は昨今流行のリアリティショーをモチーフにした作品でしたね。でもこの作品はリアリティショーをアニメでやった訳ではなくて、その裏側を描いていました。本当のリアリティショーならカットされてしまうであろうことをメインに描いていたからこそ、この作品の評価には悩まされました。なぜかって言うと、この作品は作中のチアーズと我々視聴者がイコールではないのですよね。

 

たとえば第6~7話にかけての、美山鈴音の心臓移植跡のゴタゴタ。

セレクションのメンバーやスタッフや我々視聴者からしてみれば、美山鈴音がセレクションは自分がアイドルとしてデビューするためだけのものではなくて、応援してくれているチアーズたちのためのものでもあると自覚し覚悟を決める素晴らしいエピソードでした。

でも作中のチアーズの目線に立って考えてみると、この話って不親切極まりないと思うんです。

だって、このゴタゴタに関してチアーズが知り得る情報のみで話を組み立てると、

 

美山鈴音だけ不自然に水着になることを拒んでいる。

メンバーの提案で夜更かしサミット開催。美山鈴音が水着を着ないことで責められるも、何故か生放送が中断。

何の説明もないまま次の日から練習風景が放送され、美山鈴音が練習を欠席していることが伝えられる。

数日後、夜更かしサミット完結編が放送。これまでの美山鈴音の行動に対する説明は全くなく、「美山鈴音はもう迷いません」という具体性の欠けた決意表明を聞かされる。セレクションメンバーたちもどうやら仲直りしている様子だが具体的に何があったのかは不明。

 

という流れになる訳です。正直、作中のチアーズからしたら意味が解らないと思うし、あまりにも不誠実なんですよ。

濱栗広海は夜更かしサミットを開催した理由として、

何でこういう場を作ったか、心当たりあるやろ?

うちはな、モヤモヤしたままなんが嫌なんや。思ったことはぶつけ合ってハッキリさせたいんや

と言っていましたが、これって多分チアーズたちが一番思ってるはずのことなんですよね。

内実の分からない問題が裏で起こっていつの間にか解決して、それって本当にリアリティショーなのかって。

この作品にはそういう、画面の前の私は裏側を知っているから楽しめてるけど作中のチアーズからしたらどうなんだ?という描写が結構多くて、かなりモヤモヤしました。

彼女たちのパフォーマンスは裏側を全て知っている我々現実世界の視聴者や同じセレクションを潜り抜けてきた仲間に対しては確かに刺さりますが、作中のチアーズを置いてけぼりにしている気がするんですよ。彼女らはチアーズに対して裏側の情報の殆どをシャットアウトしている訳で、そのくせ彼女たちのやっていることは全ての事情を汲んでくださいとでも言わんばかりの行いで。本来彼女たちがすべきは全てを知っている身内や我々視聴者に対するパフォーマンスではなく作中のチアーズに対してのパフォーマンスであるべきだと思ってしまうのです。

 

でも嫌いなところばかりではなくて、好きなところも沢山ありました。

やっぱり一番好きなのはこの子達の表情が本当に生きていたところ。全員集まった時に一人一人の顔を見ると全員違う表情をしていますし、地元に置いてきた家族や仲間たちというバックボーンを描くことでよりそれぞれの個性も際立っていました。

この作品は皆で集まって会議するシーンもかなり多くて、誰かが発言すると別の方向から「それは違うんじゃない?」なんて意見が高確率で飛んできて、本当に出自も違う9人の女の子が集まって共に過ごしているんだなぁと思わせられました。

アイドルものとしてそれぞれの個性をこれ以上ないくらい丁寧に描いていて、そこが本当に見ていて大好きだなぁと思える部分でした。

 

そして、ライブシーンのクオリティの高さも驚きです。

ここは深夜アニメと女児アニメで天と地ほどの差があると感じていた部分なんですけど、この作品は女児アニメに遜色ないと言っていい程にCGがハイクオリティでしたね。それこそプリティーシリーズレベルのライブCGならば比較しても遜色ないぐらいの出来です。

モデリングや動きの自然さ、表情の豊かさなども非常にハイレベルながら、個人的に評価したいのはライティングです。この作品は照明の使い方が本当に上手かった。逆光状態でフレアが発生したりコントラストが低下したり、またその光がしっかりキャラクターに反射していたり。しかもそれだけではなくて、キメのシーンではちゃんと前からスポットライトをバッチリと当てて、常に靄のかかった眠たい絵面にならないようにメリハリもついていました。非常に細かい部分ではありますがそういった部分の細かいこだわりが本当に素晴らしかったです。

また、カメラワークも素晴らしかったです。例えばGAPsCAPsのライブシーンではカメラがドラムの当間マコをアップで映している時にドラムの振動で画面が揺れているような演出がありましたし、Suzu☆Renaのライブシーンでは視点変更の際に一瞬前ピンになってからジャスピンにバチっと決まるシーンなんかもありました。こういう臨場感を高めるための細かいカメラワーク仕草的なものを仕込んであるライブシーンってほんと見てて気持ちが良いし没入できるんですよね。

(それこそ私が大好きなアイカツ無印なんかはこのカメラワーク仕草に於いて本当に卓越した作品でした。今でもアイカツ無印のライブシーンを見返すと気づきが沢山あって本当に楽しいです。もう何年も前の作品なのに、未だにどのアイドルアニメもライブシーンにおいてアイカツ無印を越えられていないなと感じます。)

話が脱線してしまいましたが、まあだからセレプロもそういったそういうCGのモデリングや動きのクオリティ以上のものが垣間見えて最高だったという話です。

 

 

・真の仲間

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ヒロインのCVが高尾奏音さんのなろうアニメは名作。

途中からスローライフ要素どこ?状態でしたけど、何だかんだで最後まで楽しめたので良かったです。

この作品は「加護」という設定の特異性が目立っていましたね。望もうと望むまいと加護に歩むべき道程が定められてしまう。加護に振り回されてしまう人間の、なんと悲しいことでしょう。

どれだけ最強の加護を持っていたって、それによって望まぬ人生を送るくらいなら、加護など無くていい。その結論に至ったルーティには頭が下がる思いです。

なろうで才能や能力を与えられてしまったが故の苦悩を描くことって、これまでのなろう系が描いてきたこととは真逆ですし、かなり勇気のいることだったんじゃないかと思います。ある意味これまでのなろう系の文脈があってこその作品だし、それも含めてとても面白かったです。

 

 

・かぎなど

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key作品は一通りやったのでネタは大体把握済み。ファンの間でもネタにされてるようなあるあるなんかをこれでもかと詰め込んだ楽しいアニメでした。特にお気に入りは妹ネタが続いた6, 7話あたりです。

見る前は「感動作品でそういうことすんのやめてくれよ……」、なんて思っていたんですけど、見てみるとなんだかんだで楽しくて。神様になった日のギャグでもゲラゲラ笑えたし、私未だに鍵特有の一昔前のノリのギャグ大好きなんですよね。

まぁでもSummer Pocketsがネタにされないで本当に良かったという気持ちも心の片隅にはありますがね……。

 

 

・月とライカと吸血姫

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正直いまいち盛り上がりどころに欠けた感は否めなく、印象に残っているところもあまりありませんが、全然見れないことはなかったですね。あんまり覚えてないので特に感想なしです、すみません。

 

 

シンカリオンZ

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シンカリオンって前作は主人公機と最新機以外はインフレについていけないがちだったんですが、今作ではダブルZ合体が登場したおかげで文字通り全員で戦ってる感が出てめちゃくちゃ良いですね。ガンガンズダンダンが今作でも聞けると思わなくて、おじさん泣いちゃったよ……(泣)。

エージェント・ソウギョクの揺れ動く心にも同情したりなんかして、本筋以外も楽しめるところが沢山あっていいよね。

物語は一段落付きましたが、この先どのように展開していくのでしょうか。楽しみでなりませんね。

 

 

・プラオレ

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ボイトレもダンスレッスンも無しの基礎的なステップ練習だけでビクトリーダンスを完璧に歌って踊ってるのって、彼女たちのポテンシャル凄すぎません?しかも普通のステージならまだしも氷上ですし。そこを突っ込むのは野暮なんでしょうが……。

ま、それはさて置き、仲良しグループの仲良し掛け合いが見てるだけで楽しくて、それだけで結構いいアニメだったなって思いますね。愛佳みたいなアグレッシブで皆の中心になれるようなキャラクターがいるお陰で、そして「絆の力でパックを繋げ!」の合言葉があったように、チームメンバーの絆を深める描写に大半の尺を割いてくれたお陰で、彼女たちの掛け合いを見るのが純粋に面白かったです。

肝心のアイスホッケー描写については、作画も良くてピード感や臨場感なども申し分ないながらも、いまいち盛り上がりきれなかったかなぁという印象です。気の持ちよう一つで何とかなっちゃう展開が多かったのが原因なのかなぁとぼんやり思ったりしたけど、どうなんでしょうね。

 

 

・でーじミーツガール

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設定とかキャラクターとかめちゃくちゃ好きだったので15分とか30分アニメでガッツリ見たかったなって思います。

不思議なことが次々と起きてそれを解決していく部分とかいくらでも広げられそうな気がしますし、90秒で消化してしまうにはあまりにも惜しい作品だったなと思います。

 

 

鬼滅の刃 無限列車編 / 遊郭

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作画は流石の一言。

ただ相変わらずテンポはめっちゃ悪いなと。劇場版でやるぐらいが丁度良かったね。

 

 

・ガルパピコふぃーばー

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いつものやつ。

多分ガルパぴことぷっちみくって、どっちも知らない人が見たら全く同じだと思うんですけど、やっぱり私は圧倒的にガルパぴこのほうが好きですね。なんでなんですかね、これ。

 

 

・結城友奈 大満開の章

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正直勇者部の皆の話の続編を期待していた分肩透かしを喰らった感はありました。

でもやっぱ期待を裏切らない辛さですね。(褒め言葉)

特に第5、6話での乃木若葉の章で千景が徐々に狂っていくシーンはとても心に来るものがありました。やっぱり自分がその立場にならないとわからないようなことって沢山あって、だからこそ当事者とそれ以外の温度差に憤ってしまう。これは自分も常々身に染みて感じていることだったので、余計に辛かったです。

だから私も、千景の気持ちが全部わかるとは言いません。勇者を経験していないのに彼女の苦しみが本当に分かると言えばそれは嘘になるから。

でも、その辛さは本人にしかわからない、ということがわかるからこそ、見ているのが辛かった。彼女自身が変わらなきゃ、誰も彼女を救えないのですから。

ゆゆゆシリーズってホント心を抉るのがお上手なんだから……。

 

 

C

・takt op.Destiny

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旅先で出会う人々との関わり合いの中で、少しずつ人間性を獲得していく運命は見ていてとても嬉しいものでした。

ただ、根本的な問題としてこれ題材がクラシック音楽である理由がないよなぁとも思いました。クラシック音楽を題材に何かしようという思いがまずあって、それを無理やり捩じ込んだ感が否めないというか。既存の出来上がった物語に後からネーミングや設定でクラシック要素を乗せましたみたいな、クラシック音楽抜きでも十分に成立してしまうよなこれっていう違和感。最終話でアンナがコンダクターになっていましたが、音楽の素養がなくてもコンダクターになれるならコンダクターって何なんでしょうか。

それとやっぱりこういう物語で私が気になってしまうのはコゼットの人格で。確かに物語を通して、人と関わりあうなかで徐々に成長していく運命は見ていてとても嬉しいものではあったけれど、だからってコゼットが救われる訳ではないのですから。

こういう人格を乗っ取る系は元人格の方が気になっちゃって物語を楽しむどころじゃなくなるので、個人的地雷かもしれないです。

 

 

最果てのパラディン

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ノローグがものすっごい多かったですね。考えてみれば無職転生もそうだけど、なろう系って1人称視点でモノローグマシマシの作品結構多い気がします。前世の記憶を引き継いで表と裏の人格が存在するが故にモノローグが多く必要になるのかなぁなんて思ったり。それでいうと転スラなんかは大賢者のお陰でモノローグも一つの会話になっていて、そういうのを感じさせなくて上手かったですね。

で、そういう作品だから、ウィルが自問自答して思考が自己完結するくせに、物語の都合ですぐに折れちゃうのが非常に気になりました。失敗を経験すると全ての結果を自分で背負い込むくせに、一言二言の説教ですぐに考えを改めてしまう。自分の中に明確に答えを持っているタイプだからこそ、その折れ方にとても違和感がありました。予定調和というかなんというか。

 

 

・ビルディバイド

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主人公が運ゲー仕掛けて主人公補正で勝っちゃうのってどうなの?とか、何の説明もなしにいきなりカードの効果を現実に適用してたりとか、結構ぶっとんだ世界観にツッコミどころ満載なアニメで見ていてとても楽しかったです。ただ、殆どギャグアニメとして見てたので終盤のシリアスはイマイチピンとこず……。

 

 

・暗黒神使

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全く以って日本のアニメ的ではない、突然変異のような3DCGアニメーションでした。それもそのはず、日本でなく中国のアニメみたいですね。

日本の3DCGアニメって手描きに寄せるようないわゆる「セルルック」が主流だったと思うんですけど、この作品はFFとかそういうのを見た時の感覚に近い、どちらかといえばゲーム的な方面に進化を遂げたCG作品だったなと。

世界観や設定がかなり作り込まれていて、ワクワクしたのは確かです。ただ設定に凝りすぎたせいか尺の大半を設定の説明に使ってしまった感じも否めなく、また、理解するにもかなり苦労させられました。理解したら面白いんですが、それらの面倒くささを差し引いてこの評価に落ち着きました。

主人公の過去やトウテツの思惑など、一番肝心なところは明かされないままでしたが、これって続きあるんすかね……?

 

 

・海賊王女

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CV瀬戸麻美さんのフェナが良すぎる、本当に良すぎる。うまく説明できないんですけど瀬戸麻美さんの声ってめちゃくちゃ俗っぽいなぁと思っていて、それが良い意味でフェナの神秘的な見た目とのギャップを生んでいて素晴らしかったですね。ちはやふるのちはやとかもそうだけど、こういう見た目と中身にギャップのあるヒロインやらせたら右に出る者はいないんじゃないかなって思います。

そんでもって作画も音楽も世界観も抜群に良かったですし、やっぱIGって凄いね。

 

でも、エデンにたどり着くまではめちゃくちゃ好きだったんですけど、最後がなぁ。

こういう宝探し系のお話って、最後の最後まで引っ張ったその宝の正体が予想を裏切るものであり、しかし納得できるものでなくてはならないという、一見矛盾した二項を両方満たす必要があると思うんですよ。それで言うとこの作品の宝は完全に予想外ではあったけれど、納得の部分は全くできなかったですね。

フェナに課せられた運命の部分が全くの説明不足で、伏線なんか何もない方向へぶっ飛んで行っちゃって。そんでもって一族を裏切ってまでついてきてくれた仲間たちも完全に置き去りで、フェナと雪丸だけで最後を決めてしまうのも何だかなぁ。(雪丸も殆ど蚊帳の外だったか……)

 

 

 

・SCARLET NEXUS

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終わってみると何だかんだで楽しかったですね。

膨大な設定を段階的に開示して二転三転とどんでん返しを繰り返しながら進んでいく構成によって、最後まで飽きずに見続けることができました。ただ、物語としては殆どが説明シーンなのもあって、面白いかと言われると怪しいです。ゲームはゲーム部分の面白さというベクトルの違う評価軸があるのでストーリー部分は設定の説明だけでも成り立つのかもしれませんが、アニメにそれをそのまま落とし込むのは無理がありますね。

あと、せっかくの異能バトルなのだから、手に汗握るようなアツい戦いも見たかったなと。戦闘描写は数多くあれど、その殆どが名もない怪異やトゲツの構成員との戦いで、面白い戦闘描写が全くありませんでした。これってゲーム原作の弱みなような気もしますね。RPGとかって一つ一つの戦闘が圧倒的に軽いし、いわゆるノルマ的な戦闘がやたらと多い。本来ならそこがゲーム部分で一番楽しい部分であるはずなのだから、そこをプレイヤーが操作しないアニメーションという媒体に落とし込むときにどうするかって、かなり重要な課題ですよね。

総じて色々足りなかった気はしますが、でも嫌いにはなれない、そんなアニメでした。

 

 

・しょうたいむ

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普段僧侶枠って見ないんですけど、お歌のお姉さんのビジュアルが好みでまんまと視聴することに。

エロ漫画が原作なので当たり前っちゃ当たり前ですが、主人公の抑えきれない性欲に笑ってしまいました。娘が寝付いたそのすぐ横で女性を襲うってどういう神経してんだと思っちゃうんだけど、案外普通なんですかね。

 

 

D

・サクガン

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ガガンバー、めっちゃ大人だなぁ。

普段はポンコツだし適当だし色々やらかしたりもするけれど、大人であるべきところではきっちりかっちり大人の役回りを果たすことができる。なんかそれってホントかっこいいよなぁって思うのです。

ただ、問題はぶん投げちゃったこと。全部を全部説明しろとまでは言いませんが、思わせぶりな発言や謎をばらまくだけばらまいて結局何もわかりませんでしたって、それは流石に見ていて辛いよ。

エピソードを一つ一つ見れば1話とか11話とかめちゃくちゃ好きな話もありましたけど、それも殆ど繋がってないのが勿体なかったなと思います。コロニーの構造と人類の生活圏の設定とかサクガンの削岩要素の設定とかもほとんど活かせてなかったように思うし、全体的にもうちょっと頑張って欲しかったですね……。

(後から知ったんだけど元々2クールだったのが1クールに短縮されてこうなっちゃったらしいね。だからといって評価が上がったりはしないけど、あまり悪く言うのも気が引けるし、モヤモヤするなぁ……)

 

・SHAMAN KING

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いつだって正義面した奴らは「復讐なんてくだらない真似をするな」なんて言うけれど、それは本当に門外漢だからこそ言える台詞で、ずるいよなぁと思ってしまうのです。その渦中に立ってすらいない、経験すらしていない苦しみを、「くだらない復讐」の一言で片づけてしまう主人公を、私はやっぱり好きにはなれません。

ルドゼブが葉に向かって言った「大切なものをなくしたことないから、そんな綺麗ごとばかり言うんだ!まるで悟ったみたいにな!」という台詞に全てが詰まっていたように思います。

 

 

BORUTO

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中忍試験編は良いモノの、ボルトとミツキは遅刻して棄権って酷すぎるよ……。特にボルトにとっての中忍試験って前回不正を犯してしまった過去もあって、かなり重要な舞台だったはずです。父親にも里にも成長した自分を認めてもらうための絶好の舞台で、だから遅刻して棄権になった時本当にがっかりしました。人助けをしていたから遅刻した訳ですが、それでもなぁ……。

木ノ葉の里の忍の班って私の認識では全員中忍になると自然消滅するっていう認識なんですけど(合ってるかはわからない)、もしそうだとすると第7班のボルトサラダミツキが全員中忍にすると班が解散してしまうから苦肉の策としてサラダだけ中忍に昇格させるという形をとったのかもと思うのですが、それにしても流石にボルトが可哀想すぎるよこれじゃあ。

 

プラチナエンド

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デスノートの大場・小畑コンビによる作品。

死神と天使だとか、月と明日のキャラクターだとか、その他諸々の要素を鑑みるに、どうもデスノートと対になるように意図して作られた作品のような気がしますね。

個人的には架橋明日の思想はかなり好きではあるんだけど、それがエンタメ作品として面白いかどうかははまた別問題なんですよね。そりゃ誰も殺さない、死なないのが理想ではあるけれど、そんなこと言うてる場合かよ、ってさ。しかも架橋明日が自発的に動けないから、物語が遅々として進まないのも本当に見ていて退屈で。

ただ、あの衝撃的な結末だけは、全く読めずにやられたなぁ、と。

 

 

E

・テスラノート

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作画はまあ見てれば慣れるというか、案外悪いものでもなかったかもしれないというのが最後まで見た感想です。

この作品、1巻発売前後の頃からアニメ化決定のニュースが流れてた記憶があってマガジンの次世代の大本命なのかなぐらいに思ってたんですが、アニメの出来は本当に酷かったですね。いや、原作も同様に酷いのかどうかは分かりませんが読んでないのでここでは言及しません。

まず主人公サイドが全員感情優先の直情型なのは良いとして、それとスパイという題材は流石にミスマッチだったなと思います。

それに加えて敵組織の「おなかすいた」の思想とか、それを説得しようとする主人公サイドの言葉とかも、全部が全部紋切り型の定型句で。

おなかすたとかミッキーのよくわからない喋り方とか、精いっぱいのユーモア要素も、本編がガバガバ過ぎてそんなところに力を入れている場合じゃないだろという気持ちしか生まれずなんだかなぁといった感じでした。

 

 

・闘神機ジーズフレーム

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10月になっていきなり放送が決定した謎の中華ロボットアニメ。

実は敵勢生物のネルガルが単純な悪ではなくて、人類の使うエネルギーが宇宙にとって有害だったので襲ってきていた、という本筋は結構よかったと思います。だからってどうしようもなくて、結局敵をぶん殴って終了というのは何とも強引にまとめてしまったなとは思いますが。

ただ中盤の脱線具合はかなりのものでした。個別回をやったりするのはいいんだけれど、それが全く本筋に繋がっていない。そこが繋がってさえいれば、或いはもう少し楽しめたかなと思います。

 

 

 

 

・180秒で君の耳を幸せにできるか?

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確かにASMRは耳が気持ちよくて良かったんだけど、それを撮影しているのを俯瞰で見せられるとなんだかむず痒いというか、気恥ずかしさのほうが勝ってしまいました。

ゲッコーちゃんの母親が赤ちゃん言葉で話しかけながら耳掻きする回とか、ほんとどういう顔をして見れば良かったのだろう······。

 

 

 

 

・ミュークルみっくす

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感想なし。

 

 

おわりに

秋アニメが終わったのはもう3ヶ月も前のことで、だいぶ忘れてることも多くて感想を書くのが遅々として進みませんでした。やっぱこういうのは最終回見てすぐの、感情が乗ってるときに書かなきゃ駄目ですね。

そして、まだ冬アニメの最終回と感想が残ってると思うと嬉しさ半分、気が遠くなります。社会の荒波に押し潰されていなければ、なるべく早く冬アニメの片付けたいところですが、どうなることやら……。