自分の児文

元々は児童文学の感想置き場でした

2021春アニメ 感想

冬アニメの感想が下書きで眠ってるけどもう結構忘れてて進まないので春アニメの感想書いてしもうた。忘れないために感想書いてたはずが放置しすぎたせいで忘れて感想書けなくなるという、なんという本末転倒感。

にしても感想の分量にバラツキがありすぎて、どれが適当に見ててどれがちゃんと腰を据えて見たのかがわかっちゃうな。

 

 

S

フルーツバスケット The Final

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足掛け2年と3ヶ月続いたこの物語も5クール目にして遂に完結。

原作と突き合わせながら全部見たんだけど、色んなシーンの順番を入れ替えながら尺短縮の為に複数のシーンをくっつけて一つにしたりその整合性を取るためにいろいろな台詞が足されたりとかなり弄繰り回されていた。全くストーリーを変えずにそれができていたことも驚きだし、それらが全く改悪にならずにむしろ分かりやすくなっていた部分なんかもあって、とんでもなく入念に構成された最高のアニメだった。

今日子と勝也の物語はまた別でアニメ化するらしいし、多分ゴッソリ削られたのって翔の彼女の話ぐらい。そりゃあ何も削らないのが一番ではあるんだけど、それで詰め込みすぎてダイジェストになるぐらいなら削ってもいいぐらいのギリギリのエピソードチョイスでバランス感覚も素晴らしい。(草摩家+本田透を中心に据えた物語として構成するのならばこれは半歩外にある話でもあるので)

「孤独は怖いと知ってる人間は 人間を愛さずにいられないから」

前にも書いたけど依鈴がモノローグで言ったこの台詞はやっぱりこの作品に一本通った筋で、それは慊人にとっても例外ではない。彼女の行動は許されざることかもしれないけれど、誰より孤独だった彼女を責めることは私にはできない。

彼女の人生はこれから始まる。

物語が終わるからって登場人物の人生がそこで終わる訳はなくって、だから今までの過ちをごめんなさいだけで全て水に流すなんて言うならそれはどうしたって嘘だ。だから依鈴が慊人を「許せない」と言ってくれたことや、草摩家の女中頭が「この年になって今更生き方を変えることはできない」と言ったこと、夾の父親が最後まで夾のことを認めることができなかったことは、決して彼女らの心情を慮った結果であることに留まらず、作品にとってもかなり大きかったと思う。

慊人はこれから長い時間を、それこそ一生かけて自分が変わったということを行動で示し続けなければならないだろう。それは辛く険しい道かも知れない。それでも慊人は大勢の他人の中から自分を見つけてくれた本田透や、十二支の絆などで縛らずともずっと側にいてくれると誓った草摩紫呉に巡り合えた。だから彼女はもう大丈夫なのだと思う。

 

 

ゾンビランドガリベンジ

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 ゾンサガは別で記事に書いたので良ければ読んでください。 

zibun-zibun.hatenablog.com

個人的には2号推しなのもあって2話がめちゃくちゃ好き。2年半越しに特攻DANCEの口上がホワイト竜の言葉だったって分かるのエモすぎ。

 

 

NOMAD メガロボクス2

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弱くなったとき

夢が見えなくなったとき

天国を見上げたら

目の前の道はまだ長いと気づく

俺は強くなる

希望を失わない

頭の悪魔と戦い続ける

 この戦いは俺が諦めるまで終わりじゃない

(引用:NOMAD メガロボクス2 ROUND13 ED 「Rise Up / Diaomd in the Sky feat. 稲泉りん」)

マックとの戦いの最中、もはやノーガードの殴り合いと化した終盤で自ら打たれに行くジョー。そんなジョーに「どこまでも行きてえんだろ、ジョー」とサチオは心の声を漏らす。恐らくジョーはこの人生最高の瞬間に果てることを心のどこかで望んだのだ。それをわかってしまったからこそ、サチオは一度タオルから手を放す。

しかしその刹那、サチオは自分の傍らに南部贋作の幻を感じる。

南部贋作が最後にジョーと交わした言葉。

「最後まで戦い抜け。俺はここに居る」

リュウと戦った頃のジョーはその言葉の本当の意味を知らず、自分のすべきことはリング上で戦い抜くことだと勘違いしていた。でも本当はそうじゃないはずだ。自分の人生から逃げすに向き合い、戦い抜け。私にはそんなメッセージに写った。

サチオはその会話など知る由もない。それでもサチオは最後にタオルを投げる選択をする。この後の長い人生、ジョーと共に歩んでいきたいと思ったのだろうか。ただ単に彼に死んでほしくないと思ったからか。本当のことは彼にしかわからないし、私には推し量ることしかできない。それでもやっぱり南部贋作の教えはサチオの中に息づいているのだと私は信じたい。

人生は戦いだ。楽しいことばかりではないし、クソッたれな人生と思ってしまう瞬間だってある。でも生きている限り人生は続くし、戦いは続く。最高の瞬間に幕引きを迎えることよりも、酸いも甘いも噛みしめて、それでも前を向くのが人生なのだろう。

旅人は長い旅を終え、ようやく自分の居場所に帰ってきた。長い長い人生で、ずっと寄る辺のない旅人では生きていけない。"チーム番外地"という居場所を取り戻したジョーはもうノマド(放浪者)ではない。

 

 

・魔道祖師

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固有名詞が多くて最初は全く理解できなくて、でもわからないからわからないなりに携帯片手に名前や固有名詞をwikiとにらめっこしながら見てた。中国人の名前に耳馴染みがないから全然頭に入ってこなくて、年寄りが横文字を理解できない気持ちがわかったわ。
最初の2話は現在の話で、そこから一気に20年前に飛び、過去の必要な出来事だけを飛び飛びに描いていって13年前の大事件へと近づいていく。そしてある程度その事件に近づくと、今度は現在と過去の事象が交互に描かれるというかなり小難しい構成になっており、しっかり見ていないと今どういう状況なのかすら把握できないし話もぶつ切りでめちゃくちゃ困る。現在と十数年前のキャラの見た目が変わらないのも理解の妨げになっているし、正直めちゃくちゃ不親切なアニメなのは間違いない。
でもそういうハードルを乗り越えて話を理解すると、これがもう抜群に面白い。アクションファンタジーに愛憎入り混じるドロドロのサスペンス、謎に包まれた過去の出来事を徐々に紐解いていくミステリーでもあり、ほんのり薫るBL風味もブロマンス好きの私にとっては最高。(原作はBLらしいけどアニメではかけがえのない友情程度に改変されているっぽい。男性ウケのためかな)

自分の正義を信じ行動した結果取り返しのつかない過ちを犯してしまった主人公が、その罪と向き合い再起する。こんな系統の物語が大好きな私にはドンピシャでぶっ刺さった。

アニメ三期も決定していてそこで完結の感じなので、まだ原作は読まずにとっておこうと思う。

 

 

・バクテン

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作画が凄すぎる。演技シーンでCGと手書きが組み合わさってるけど全く違和感ないし、カメラワークもアニメだからこそできるアングルや動き、画角の切り取り方やレンズの選択をしていてとんでもない迫力。特に最後の演技シーンは今までの試合や練習での課題だったところがしっかり演出で強調されていて、演技を見るだけで自然と泣ける。

前々期のスケートリーディングスターズと競技性が似たスポーツだけど、描くチーム数を絞っていたからキャラクターへの感情移入の深さが段違いだった。こういう競技って自分たちの演技に点数が付くから無理に対戦相手を描く必要はなくて、1クールほぼ丸々主人公チームの掘り下げに使えたことがほんとに大きかったと思う。

劇場版もめちゃくちゃ楽しみ。

 

 

アイカツプラネット

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 最初は期待してなかったけどめちゃくちゃ面白かった。無印を知ってると構成やキャラ配置が意識して似せているのかもと思う部分も結構あって、シリーズファンとしても楽しめたので二重に良作。

最終回に今までのメイキングとキャストへのインタビューがあったけど、それでよりアイドルの娘たちを好きになっちゃった。

2クールでなく4クールでやって欲しかったとかコロナなければライブあったのかなとか、作品の完成度とは別に惜しいところが沢山あったので是非二期お願いしますといったところ。

 

・灼熱カバディ

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攻守がはっきりしてて見てて気持ちいい。

花形でセンスの塊みたいなやつばっかのレイダーに対して地味だけど泥臭くも努力を積み重ねてきたアンティ、個の力では敵わなくともチームの結束で倒す、そんな対比構図がアツすぎる。レイダーが努力をしてないとか言いたいわけじゃなくて、アンティ陣の泥にまみれて散々苦汁を飲まされてきた感じが大好きだということを言いたい。サブキャラクターを使うのが上手いスポコンは名作だよ。

今後の展開もとても気になる。能京には絶対的エースレイダーの王城がいる中で、彼が完全復活したとき宵越はどういう立ち位置で生き残っていくのだろう。

 

 

 A

・やくならマグカップ

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陶芸初心者の姫乃が段階を踏んで一から陶芸を学ぶことで陶芸を知らない視聴者にもしっかり配慮されていて、姫乃に感情移入もしやすかった。

陶芸を通じて知らなかった母の輪郭に触れてその思いを受け継いでいく姫乃や、姫乃がコンテストの作品作りを頑張る裏で父親がカフェの新名物を試行錯誤していて親子像がシンクロする。作品づくりに悩む姫乃に父親が母親との思い出を語ったりするのもめちゃくちゃ良い。こういう親子を意識する瞬間が多くてそれだけで少し涙腺に来た。
初心者でももしかしたら賞獲ってるんじゃないかっていう淡い期待とは裏腹に現実はそう甘くない絶妙なリアリティがあって、でも主人公の気持ちをそのままにせずしっかり落としどころを作ってあげてる優しさもある。

ちいさな「良さ」が積み重なった心温まるアニメーションだった。

 

 

・MARS RED

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音楽朗読劇が原作なだけあって音楽がかなり良かった。一つ印象的なBGMがあるだけで作品への印象ってだいぶ変わるよね。

サロメだったり仮名手本忠臣蔵だったり良寛の歌だったりそういう教養が全くなかったから初見だと何のこっちゃわからずに流し見してたけど、何だか勿体ない気がしてせめて戯曲や舞台のあらすじだけでも頭に入れて見てみようと思って突き合せて見たら結構評価が上がった。その物語を完全に再現してる訳ではなくあくまでそれらはエッセンスで、点と点で共通点が多数ある程度の引用の塩梅がとても心地良い。

作品内の雰囲気やテーマも一切崩れずに最後まで行ったのも評価が高い。モチーフの戯曲や舞台もすべてテーマが統一されていて、作品全体の雰囲気を全力で以って作り上げている。特に前半の1~4話は物語上必要な要素を拾い上げながら作品の設定や雰囲気を過不足なく伝え、且つ単話で見ても一つの物語として完成しているうえに引用されている劇や戯曲を知っていると更に楽しめるという凄まじい完成度。

 

 

・86

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常日頃からギルティクラウン愛を叫んでいることからもわかるように私は澤野弘之の歌もののBGMが大好きで、それが効果的に使われていただけでもう高評価。

話的にはそこまで刺さっていたわけではないけど、顔も見えないしどうしても対等ではいられない86への思いを募らせたミリーゼ少佐が彼らの生きた痕跡を辿る時、私も馬鹿みたいに泣いた。それはミリーゼ少佐に感情移入していたのもあったけれど、もう一つ理由があって。

私がどんな物語を見て感情移入しても感動しても可哀想に思っても、物語の中の彼らにとって私は傍観しているだけの人間に過ぎなくて、彼らに寄り添うことも助けることもできない存在なのだ。物語を見ている私は作中の86にとってのハンドラーより無力で残酷な存在なのかもしれない。それを実感してしまったから、そのどうしようもなさに泣いてしまったし、そこでまたミリーゼ少佐の気持ちが分かって泣いてしまったし、でもそのミリーゼ少佐に感情移入する行為自体がやっぱりエゴでしかなくて、もう書いてて良く分からなくなってきたけどとにかくどうしようもなく悲しくなったのだ。

 

 

・東京リベンジャーズ

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アニメ数話見て原作全部読んじゃった。基本的に原作に忠実で悪くないアニメだったと思う。でも原作に並ぶ感動はあまりなくて、なんなんだろうね。

あと13話の冒頭、日向の葬式の時に武道が棺桶の前でずっとぼっ立ち、周りが困惑して警備員も動いて直人は泣き出す、みたいなシーン。これは原作に無くて、そこだけは改悪だったんじゃないかと思う。

 

 

憂国のモリアーティ

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"Catch me if you can, Mr. Holmes."

 

 

・ODD TAXI

f:id:k-bbb-zibun:20210703211259j:plainゆるそうな見た目とは裏腹にガチガチに本格的なミステリー群像劇。「女子高生失踪事件」を中心に、一見何の関係もなさそうな複数の事象が徐々に絡み合っていく様が見ていてとても気持ち良かった。全員の視線が小戸川のタクシーに集まる、あの瞬間の為に1クール見てきてよかったと心から思えた。

青春群像劇とかスポーツものとか、複数の視点から物語が展開されるという広義の意味での群像劇はアニメにも数あれど、本格的な群像劇ってアニメではあまり見ない気がする。ぱっと思いつくのはデュラララ、BACCANO、リヴァイアスぐらい。もっとこういうの見たいし、他におすすめとかに知ってたら教えて欲しい。

 

 

B

・Vivy

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マツモトの喋り方がもろに長月達平で最初こそちょっと引いちゃったけど、普通に面白かった。作画も流石のWIT STUDIO、見ていて気持ちのいいアクションばかりだった。

ただAIにしては合理性に欠ける判断の多さにモヤモヤしてしまって話にはあまりのめり込めなかった。AIと呼ぶには感情的で、人間と呼ぶには違和感のあるその何かに感情移入できていれば十全に楽しめたのだろうと思うと少し悔しい気もする。

 

 

シンカリオンZ

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ザイライナーとのZ合体、めちゃくちゃカッコいい。物語的にも謎多めで続きが気になるし今のところとても楽しめてる。
前シリーズのキャラも出てきて前作との関係性も徐々に開示されていって、そこのワクワクもあって今のところシリーズ物の2作目として満点の出来。

フォロワーさんが言ってて気づいたけど、萌えキャラがいないのが唯一の欠点かもしれない。思えば無印は三原フタバさんとか上田アズサとか可愛い女性キャラが揃ってた分、どうしても画面の華やかさは見劣りはするかもしれない。

 

 

・転スラ日記

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見る前は30分は長いだろとか思ってたけど案外そんなことなく普通に楽しめた。リムルの緩さや周りのキャラの濃さが日常系にも案外親和性高いのね。
個人的にはゲルドとゴブリン幼女の関係が萌えて好き。

 

 

 ・バックアロウ

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色々雑すぎて草。勢いで全部誤魔化す中島かずきの悪いとこ出てるし、それがTRIGGERじゃないからいまいち受け止めきれてない感じ。
でもルドルフ vs ゼツ×アロウ のあたりは共闘燃えとか色々相まって部分的にはめちゃくちゃ面白かった。美少年牧場とかの意味不明な設定も中島かずきの仕業に見せかけて案外ミズーギィ王国の前科持ちの谷口悟朗のアイデアだったりするのかも、とかそういう面からも楽しめたりしたし悪いアニメではなかったのは確か。

 

 

・魔入りました入間くん2

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ウァラク・クララもアザゼルアメリもイクス・エリザベッタも、全員まとめて愛す。
特段面白いとも感じないけど何故かずっと見てられる感じの不思議なアニメ。

職員全員が署名持ってくるシーンはこれまでの集大成感あって結構胸熱な展開だった。

 

 

BORUTO

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ようやくボルトとカワキの話が動き始めたところ。原作でも抜群に面白い話が素晴らしい作画でアニメ化されて面白くならない訳がない。

カワキがナルトの過去を知って心を開いていく過程が一番面白いですからね、この作品。

 

 

不滅のあなたへ

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最初の前世編とヤノメ編はいまいち面白さがわからなかった。
でもタクナハ編は好き。というかグーグーとリーンの関係性が良かっただけかも(関係性のオタク)。

前半の二編において、フシはキャラクターではなく物語を動かす装置だったように思う。タクナハ編に入ってようやくフシが人間性と呼べるようなものを獲得し、キャラクターとしての魅力が見えてきた。そして作中時間も前二編の何倍も使ったぶん他のキャラクターへも深く感情移入できたし、だからこそタクナハ編は楽しめたのだろう。

 

 

 C

・擾乱

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作画と雰囲気は良かったし作品全体を通して無常観が伝わってきた。人間の持つ二面性、心の内に秘めた矛盾とそれに対する葛藤なども見事に描かれていた。

しかし、衝撃を作ろうとするあまりの「死んだと思ったら実は生きてました」展開の多さが気になる。あまりにもワンパターンだったので、最後らへんは「またか……」と冷めた目で見てしまっていた。

あとは設定のスケールに対して話のスケールが追い付いていなかった。龍脈だとか青い血の一族だとかの設定も持て余していたし、徳川への反乱がどうとか言う割には主人公の周りのゴタゴタで話が終わっていた印象。

徳川政権を転覆しかねない秘密って結局何だったんだろう。月城が遺したメッセージと断片的に見えたメモの内容から察するに「葛原が青い血の一族を抹殺したこと」な気もするが、流石にそれで徳川は沈まないと思うし謎は深まるばかり。多分物語的にはその内容はあまり重要ではなくて、徳川の治世の終わりが「鵺」にも否応なく変革の波が起こすということが大事だったんだと思う。それでもやっぱりあんだけ「重大な秘密が……!」って引っ張った上で何も描かれないのは視聴者としてはモヤモヤが残った。

 

 

・シャドーハウス

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エミリコみたいに馬鹿で正直で明るいキャラクター、結構好きなんだけどこういうシリアスなアニメで見るのは心が痛む。作品の雰囲気と画面の見づらさがトレードオフなのもちょっと辛かった。あとは原作ものだから仕方ない話ではあるんだけど、シャドー家の謎が明かされるタイミングが終盤も終盤で、でも物語的にはまだその設定を活用する段階にはなくて、アニメ単体で見た時にバランスが悪かったと思う。

でも悪いところばっかりではなくて、最初あんなに嫌な奴だったパトリックやリッキーたちがエミリコの優しさに触れて徐々に改心していく様はとても良かったし、最終回エドワードを追い詰めた時のエミリコの表情が初めてケイトの顔としての役割を果たしていたシーンもエモかった。生き人形として強制されたわけでなくお互いの思いがシンクロしたからこその表情のシンクロ、めちゃくちゃ良かった。

 

 

・ダイ大

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ポップの最初の逃げ腰イメージが今になっても抜けなくて、だからポップが漢気見せるだけで簡単に泣いてしまう自分がいる。ポップが主人公だって言われることがあるのも納得できるぐらいめちゃくちゃ良いキャラ。

ただ物語としては良く言えば王道だけど悪く言えばベタで、正直自分はあんまり刺さってない。どちらかといえばベタとか王道を作ってきた側の時代の作品にこんなこと言うのも的外れかもだけど。

 

 

・ひげひろ

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少女漫画では歳の差恋愛はわりとポピュラーなジャンルだし、大人と未成年の恋愛も結構ある気がする。最近の作品でも「高嶺と花」、「PとJK」、「椿町ロンリープラネット」、「墜落JKと廃人教師」などすぐにぱっと出てくる。

しかしそれらはその年齢の壁を物語として越えるべきハードルとして描いている場合が多く、モラルや社会的問題の側面で切り込んだ作品は私の知る限りだとない。

 

ところが最近はこの成年対未成年の恋愛を道徳的な問題を絡めて描く作品が増えてきた。「私の少年」や「娘の友達」、少し違う気もするが「少年のアビス」などもこの系譜だろうか。そしてこの「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」などもその一つだ。(厳密には"恋愛"ではないと言われればそれはそう)

その中でも「ひげひろ」と「娘の友達」は対照的な位置にあった。ひげひろは「大人は大人然として子供に手を差し伸べるべき」という価値観なのに対して、娘の友達は「大人が大人以外であってはいけないのか」ということが描かれている(そういう風に私は読んだ )。


「娘の友達」は妻に先立たれて娘は不登校になって、仕事もうまくいかない失意の中で偶然出会った娘の友達古都と破滅的な依存関係になってしまうサラリーマン晃介の話だ。古都は家族関係が上手くいっておらずそのせいで破滅願望があり、自分に優しくしてくれた晃介と共に破滅しようと誘惑を仕掛ける。会社員である自分、父親である自分、そんな重圧に押しつぶされそうになった時、何者でもない自分を肯定してくれたのが「娘の友達」だったのだ。

ネタバレになってしまうので詳しくは言わないが、様々な障壁を超えてそれでも彼らは一緒にいることを選択する。でもそれは破滅するためではない。古都は親としっかり向き合ったうえで、主人公も親であることや社会人であることから逃げずに向き合って、その上でどんな謗りを受けようと一緒にいよう、そういう選択をした。

 

吉田の行いは確かにとても正しいことで、彼に出会えた沙優は幸運だっただろう。吉田は大人であることから常に逃げずに向き合い続けた。でも「娘の友達」を読んでしまった私には、吉田の振りかざす正しさはとても鋭い凶器にも見えた。大人と未成年の恋愛を賛美したり肯定したりするわけではないが、私には「ひげひろ」の正しさは時に息苦しく感じることがあったのだ。

 

 

スーパーカブ

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自分は「ないないの女の子」だと思っていた小熊がスーパーカブに出会ったことで打ち込めるものや友達を手に入れ、それによってどんどんと日常が彩られる喜びや自信を知っていく過程が描かれる前半。重く余白の多い描写に背景のデティールの細かさなど、生活の質感を伴ったリアリティがとても良かった。

ただ後半に行くにしたがって雲行きは怪しくなる。5話なんて今までのリアリティのある描写を一気に飛び越えたドフィクションだし、小熊の自信も根拠のない全能感へと肥大しとんでもない行動をとるようになっていく。

例えば修学旅行に単身カブで乗り込むのもヤバいし、椎ちゃんが川に転落したときに救急車を呼ばないのもヤバい。状況も良くわからない状態でたまたま間に合って助かったからいいものの、下手すりゃ死んでたしカブの全能感に酔っていたでは済まない話だ。

あと、あまりにも小熊のコミュニケーション能力に難がありすぎて、小熊が玲子以外と喋る時常にハラハラさせられていた。最初は人と話すこと自体が少なくモノローグ中心だったからあまり気にならなかったけど、後半に行くにしたがって社交的になって行って(それ自体は喜ばしいことなんだけど)、あまりにもコミュニケーション能力が低いものだから見ているこっちが辛くなるという何とも言えないいたたまれなさ。

前半は好きだっただけにちょっと残念な気持ち。

 

 

・ダイナゼノン

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アニメっぽくない質感を持った会話の間や距離感、空気感を前作から受け継いでいて流石。

でも怪獣事件で街は大変なはずなのに、そこに住む人間は妙に平熱で、それが見ていてとても違和感。これも一応前作からといえばそうだけど、より拍車がかかってる気がする。

屋台骨だった夢芽の姉の話と怪獣云々の話が独立していて相互不干渉なところとか、ゴルドバーンやハズレの怪獣って結局何なのとか、5000年前の人たちがなぜ今になってとか、蓬の怪獣使いの能力とか、設定もストーリーも色んな方向に手を広げてしまったせいでどの要素も上手く畳めずに中途半端に終わった感じが否めない。特に姉の死の話なんかは、夢芽の心情だけで言えば解決したのかもしれないけど、視聴者目線からするとキャラクターだけで勝手に納得しないで物語的な決着を見せて欲しかったと思う。

メインキャラ全員の心情にしっかりと決着をつけているところは確かにすごく良くて、だからこそ評価が難しい。ちせがタトゥー入れて不登校貫いてるのなんて最高にちせだったし。

 

 

 D

 聖女の魔力は万能です

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主人公側の視点では王子をずっとちゃらんぽらんだと描いておきながら、実は王子の側にも事情があって……という展開にはまんまとしてやられた。カイル王子みたいなキャラ、好きすぎるでしかし。

それでも評価がイマイチなのは、多分主人公に魅力を感じれなかったから。そりゃあ最初はこんな状況でも前向きに生きている主人公はめちゃくちゃ凄いし応援したいと思ってた。でも話が進むにつれて実は全然悪い状況でもなくむしろ主人公は良い思いをしてるだけじゃないかと思えてきて、なのに更なる主人公ageのためだけに辛い目に合う愛良の方に感情移入しちゃって見るのが苦しかった。愛良は何故スランタニアに召喚されちゃったんだろうね……。 

 

 

・ミュークルみっくす

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またゆにつぎはぎを悪者にしちゃうのは流石に可哀想じゃない? 1年目と比べて敵味方の境界線が崩れてぼんやりしているせいで、茶番感が一気に増してしまっているのも辛い。期待してたゆめ会長朝陽の恋愛関係もあやふやなまま放置されてしまって、1年目終盤あたりからちょっと厳しい。

ただ掛け合いのテンポ感はいい感じにこなれていてむしろ公式側がそれをネタにするぐらいの気概もあって、そこは見ていて安心できる。

 

 

 E

・SHAMAN KING

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展開の速さとギャグのノリに全然ついていけないのがキツかった。

以前、松井優征先生が漫画を描くうえで大切な「防御力」(=読み手にどれだけストレスを与えずに読ませることができるか)について語った記事で、「つまらないコメディシーンやセンスのないオシャレは省く」というものがあったけれど、ギャグが合わないと本当に苦痛なんだなとこのアニメで身をもって理解した。

あとは主人公のキャラと行動が一致していないのを屁理屈で無理やり丸め込もうとされている感じもちょっと苦手だし、何でまん太ずっと着いてきてるんだよとか突っ込みどころも多くて私には合わなかった。

 

 

さよなら私のクラマー

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原作は結構尻上がり的に面白くなってくけど、アニメは正直出来がかなり悪かった。

BGMは場面に合ってない気の抜けたようなのが多いし、作画もテンポも悪いし、原作だと目を見張るような鮮やかなキメシーンもサラッと流しちゃうし、そのせいでギャグシーンとのメリハリが生まれなくて常に半分ふざけてるみたいな空気感になってるし、佐和がモノローグのナレーションなのも全然しっくりこないし、ほんともう散々。

視点もぶれて誰が主人公だかわかったもんじゃないのも見辛い。群像劇といえば聞こえは良いけど、正直原作もこれのせいでちょっと読みにくいところはあるし手放しで肯定はできない要素のひとつだと思う。


・プリチャン

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3年目はマスコットを見てると「頑張れ」よりも先にマスコットに対するイライラが浮かんできて、そこが好きになれるかの境目だったのかなと思う。

プリチャンはどんな子でもありのままを受け入れて寄り添うことが根底にあったと思う。

例えば虚言癖の子が出てきてもその虚言壁を諫めるでも虚言癖を治すでもなくそのまま終わっていった回があった。

例えばマスコットの失態を絶対に責めたり治そうとしたりせず、ただ寄り添って応援していた回があった。

多分私は過剰すぎる"それ"についていけなかったのだ。

 

 

 F

デジモンアドベンチャー:

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ノーコメント。

 

 

 バトルアスリーテス大運動会ReSTART

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前作のこと全然知らないんだけど、これ前作ファンから見たら懐かしのネタ満載で面白いとかの可能性もあるんかな。

 

 

・ぷっちみく

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未だにハピアラとピキピキ以外のキャラが分からん。(自分の怠慢)

 

まとめ

今期アニメも豊作だった。というか毎クール程度の差こそあれ終わる時には絶対今期アニメも面白かったって言ってる気がする。

やれ最近は不作だなんだと言う人はいつの時代も一定数いるけど、それは多分1クールに50本も60本もあるアニメなんて全部は見れないからで、たまたま自分に合うものに出会えなかっただけの話なんじゃないかな。「今期○○と△△と××しか見るものない」って言われても、ほとんどの人は他の何十本もある今期アニメをしっかり見た上で言ってるわけじゃないし、そういう論争は不毛なんじゃないかとも思う。

新しいアニメが放送すればなんだかんだそれだけで楽しいし、皆もクソアニメはクソアニメで実況楽しんでたりするじゃない。楽しんだもん勝ちよね、結局。